職場の話はしませんよ。
自習の時間: 円高とギリシャ経済危機
現在の円高状況と、ギリシャ=ユーロ危機について自分なりに復習してまとめてみます。

ニュースや解説などを参考に私なりに理解してまとめた内容ですので、大筋で間違ってないとは思いますが、誤りもあるかと思いますので鵜呑みにせずにお願いします。
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円高が続きます。1USD(米ドル)=75JPY(日本円)の水準が再び近くなっています。
いくら日本が富裕国とはいえ、1.2億人/63億人ですから、国内でモノを売っても企業成長には限界があり、特に「ものづくり」のマーケットは海外に頼ることになります。よって、海外で売上を上げる産業=輸出産業は円高の打撃が大きいです。

つまり、1USD=100JPYなら、1億ドル=100億円の売上、だったものが
1USD=75JPYだと、1億ドル=75億円の売上、となります。稼ぎは以前と同じはずなのに、円高とかいうヤツのせいで、1/4減、となるわけですね。
年収400万円の人が300万円に減る、と思うと厳しい話です。

さて、なぜ円高が続くのか。
東日本大震災や政治不安もあり、国の借金も増える一方です。日本がそれほど世界から経済的に信頼を集めているわけではないのですが、
JPY以上に、USDやEUR(ユーロ)の信頼が落ちている、ことが要因だと思います。
特にEURの下落は酷く、ちょっと前なら1EUR=170JPYくらいだったものが、とうとう100JPYを下回りそうな勢いです。

このEURの下落は2010年に発覚したギリシャ経済危機に起因します。
そして、現在も完全回復の見込みがありません。


JUGEMテーマ:経済全般
 
2010年5月、政権交代したギリシャでは、前政権がひどい財政赤字を隠蔽していたことが発覚しました。
財政赤字は国内総生産(GDP)の4%程度と公表していたのが、実際は13%近くであることがわかりました。同時に、債務残高もGDPの113%にのぼることがわかりました。

【point 1】
債務残高がGDPの113%ということは、年収400万円の人が、452万円の借金を保有しているということ。
そして、財政赤字が13%あるということは、年収400万円の人が年間に452万円を使ってしまい、今年も借金が52万円増えるということ。

これにより、格付け会社が相次いでギリシャ国債の格付けを引き下げます。

会社も国もそうですが、手持ちのお金で全てを運営しているわけではなく、一部を借金(未来からの借金)でまかなって運営しています。この借金が、国であれば「国債」であり、国債を含む政府機関の発行債を「ソブリン債」というそうです。

国債は、1年、2年、5年、10年などの定期を区切り、「OO%の利子をつけて期限満了になったらお返ししますね」というもので、人々は国債の権利を売買してやりとりします。
ところが、ギリシャの国債は「払えない=返済されない」可能性があるかも・・・?とみんなが思ったわけです。

特に格付け会社は綿密な調査と専門スタッフによって格付けを決めており、きわめて影響力があります。格付け会社が「返済しないかも」=「債務不履行の可能性あり」というレベルに格付けすれば、誰だってそんな債権は欲しがりません。貸したお金がかえってこないかもしれないわけですし。

【point 2】
ギリシャ債権を、フランス・ドイツなどのEU圏内の銀行が多量に保有している。

2009年末のデータになりますが、ギリシャへの各国の投資額は以下のようなものです。
フランス 788億ドル
ドイツ 450億ドル
イギリス 153億ドル
オランダ 122億ドル
アメリカ 165億ドル
日本 66億ドル

ギリシャが破綻=債権不履行(借金返済放棄 「デフォルト」というそうです)すれば、これがぜんぶ紙切れ、ゼロになります。

そうなれば、フランスやドイツの大銀行が多額のこげつきを背負うことになり、金融へのダメージ、下手すると銀行破綻もありえます。よって、ドイツのメルケル首相やフランスのサルコジ大統領は、ギリシャ救済に積極的にならざるを得ません。自国のために。決して、「欧州の同胞としてギリシャを助けなければ!」などという博愛精神ではないと思います。

個人の借金もそうですが、
背負っている借金額の多寡も問題ですが、それ以上に「新規の借金が増えない」ことが肝要です。少しずつでも返済できれば未来に希望があります。

そこで、IMF(国際通貨基金)とEUが共同して最大で7500億EUR(約89兆円)の支援を決め、取り急ぎ、IMF 300億+EU諸国800億=1100億EURの支援を決めます。取り急ぎの手持ち資金がなければ、運営がままなりません。
ギリシャ支援したIMFや各国がギリシャ政府と協議、とにかく毎年の財政赤字をへらすこと。取り急ぎ、2011年は対GDP赤字13%→7.6%を目標とすること、としました。

そのために、税率アップ、公務員の賃金引下げ、水道・電気などの民営化などの施策を打ち出しました。

【point 3】
ギリシャの改革案がさっぱり進んでいない。
公務員はストライキやデモを起こして、賃金ダウンに反発している。
対GDP赤字7.6%は達成できず、8.1%くらいになりそうな見通し。

日本も原発問題などがあるので他人事とは言えませんが、
民衆は、あまりにピンチすぎると、最悪の自体を否定して思考がストップするんですね。
また、民衆はなんだかんだいっても無条件に政府を信頼している。つまり、ギリシャの人たちは「自分たちの国が破綻して、ギリシャという国が無くなる」ことを想定してないみたいです。
 
もう一つの厄介な問題として、EURが共同体通貨であることも言えます。
ギリシャがEURではなく独自通貨だった場合、どうなるか?わかりやすくするために、JPY-USDで例えると、

日本が経済破綻して、圧倒的な円安になるとします。1USD=300JPYくらい。
そうなると、輸出が強くなって、輸入が弱くなります。かつては1ドル稼いで100円だったものが、今は1ドル稼げば300円。誰だって、ドルを稼ぎたいわけです。こうして円安になる→輸出が伸びる→外貨が稼げて国内に入ってくる→もう国債で借金しなくても外貨が手に入る、という「市場原理」が働きます。もちろん、こんなにストレートにはうまくは行きませんが。

この場合、国内で生活が完結する人にとっては、輸入品が高くなるくらいで、それなりに耐えて生活可能です。ギリシャには漁業も農業もありますし、政治レベルで財政破綻とかいったところで、町の魚屋には魚があり、国産のパンは売られており、人々は食うに困ってるわけではありません。
 
ところが、ギリシャがこの状況においても、EURは極端に安くなりません。当たり前ですが、格付けAAAのドイツ・フランスを始め、経済優等生がEUR圏内には多数いるわけですから。
よって、市場原理が働きません。

そうなると、ギリシャは「出ていくEUR」を制限する必要があります。つまり、公務員の賃下げなど、緊縮財政が直接的・短期的には効果があります。

しかし、「建国以来、初めて公務員の数をカウントした」というギリシャ、なんと国民の1/4が公務員だったそうです。そりゃ財政赤字にもあるわけです。給料を減らされるときいた国民は、「なんで政府の失策のせいで、俺らの給料が減らされるんだ!」とストライキやらデモやらが多発。各種民営化についても、そうそう短期間で行政を民営化なんてできませんから、当然に進みません。

これがギリシャの改革が進まない現状のようです。

ドイツのメルケル首相にしてみれば、現地に乗り込んでマッハパンチか木刀スペシャルをお見舞いしたいところでしょう。キレていい場面ですね、確実に。

EUR共同債を発行する案もあるようですが、賛否が紛々しています。。
ギリシャを助けるために、ドイツやフランスの「信用度」を貸すことにドイツ・フランス国内の反発があるのだと思います。本件に関心がないドイツ国民やフランス国民の大半は、「そりゃ、同じEU圏内のギリシャだから、少しは助けてもいいけど、自分たちの生活に悪影響があるのはイヤだ」というのがホンネだと思います。もちろん、私自身がドイツ国民だったら、やっぱりどこか他人事だとは思います。

そのへんは、ドイツやフランスの政府が、自分たちの問題としてギリシャ問題を自国民に説明しきれないのも理由だとは思います。とはいえ、「ギリシャがぽしゃると、自国の大銀行が傾いて、国内の会社も多数破綻するよ」とはメルケル首相も言えません。そんなことしたら自国の経済不安につながり、自身の支持率も低下します。

国民の強い支持がなければ、メルケル政権もサルコジ政権もこれ以上踏み込んでギリシャ支援が出来ず、破綻が見えつつあるギリシャを眺めるだけになっています。メルケル首相も「ユーロ危機に対する特効薬はない」と発言していますが、効果的な手の出し方が思いつかない、という状況なのだと思われます。

【point 4】
よって、出口がない。
1. 債権不履行(デフォルト)は許されない
2. ギリシャ国内の赤字圧縮もできそうにない
3. これ以上の国債による財源確保もできそうにない
4. 市場原理による回復もみこめない
5. なのに、IMFやEU諸国が資金を投入して「延命措置」をしている

ギリシャのデフォルトは無い、と言われていますが、欧州の希望的観測に過ぎず、周辺の情報を整理すればするほど、デフォルトしか残ってないと感じます。

3.についても、とうとう利回りは2年物国債で69%、10年物で23%とかになっています。100万円をギリシャ債に投資すれば、2年後には169万円です。どうですか?みなさん。たぶん、ギリシャは返済する気ゼロだと思いますが(以前にロシアがやったような、一方的な支払い延期宣言など)。
それだけしても、ギリシャ債に投資家はお金を出したくない、また、通常は10年物のほうが利回りが良いはずなのに、目先の資金繰りのために2年物のほうが利回りが良いという異常な状況です。
 
日本でも北海道の夕張市で財政破綻がありました。
ギリシャでも財政破綻という現実を発生させて、ギリシャから逃げるか、ギリシャで厳しい生活を強いられながらも復興に頑張るか、の二者択一を国民につきつけることもありうるのではないかと思います。

あるいは、EURからの脱退です。独自通貨になれば、長い時間はかかるものの復興の道のりがあるかもしれません。但し、EURという統一通貨自体が失敗だった、という自認にも等しく、EU諸国としては政治的に選びたくない選択肢かもしれません。また、EUR安に直結しないギリシャ通貨など、他国は助けてくれなくなるかもしれません。

経済評論家(なのでしょうか)の小笠原誠治さんが提案する株式交換案も妙味があります。ギリシャの郵政事業や水道事業などを民営化した後に、フランス・ドイツの銀行が保有するギリシャ国債をそれらの株式と交換する。大株主としてフランス・ドイツがそれら事業を黒字化できれば、むしろフランス・ドイツ側にもアドバンテージがある、というものです。インフラを他国の民間企業に委ねるというのは、ギリシャの国民感情的には難しいかもしれませんが、それくらい極端なことをしないとならない状況まで来てしまっている、のかもしれません。

ギリシャ危機を皮切りに、その他でも財政赤字が危険視されるポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインの状況もどんどんと明るみになり、今週に入ってイタリアの格付けが下がるなどして、EUR安に拍車をかけています。(前記4ヶ国にギリシャを加えた5ヶ国を頭文字にちなんで「PIIGS ピーグス」と呼ぶそうです)

以上のような状況によって、EUR安に歯止めがかからないようです。
今後もギリシャの関連ニュースは着目しようと思います。


<参考にしたサイト>
週間ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/12678
経済ニュースゼミ http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51385543.html
日経新聞 全図解ニュース解説 http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=56
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