職場の話はしませんよ。
自習の時間: 福島第一原発事故
東日本大震災後の福島第一原発事故に関連する政府の指針と放射能状況について自分なりに復習してまとめてみます。
 
例によって、私自身がニュースや解説などを参考に理解してまとめたものですので、大筋で間違いはないと思いますが、誤りもあるかと思いますので鵜呑みにせずにお願いします。

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いろいろなこの7ヶ月間のニュースを確認し、識者の解説記事などを閲読しましたが、とにかく非常に難しい問題です。


JUGEMテーマ:原発事故、その後の影響
 

 まず、原因と原始的な問題点ですが、

【point 1】
原発内の圧力容器内に格納されている燃料棒は当然に放射性物質であり、
メルトダウン(メルトスルー)+原発建物の爆発によって、大気中に放射性物質が放出されてしまった
大気中放出+風+降雨により、東日本周囲の広い地域において大気、土壌およびその土壌で育成された作物から放射性物質が検出されている

メルトダウンという言葉のインパクトが3月には独り歩きしていた感があります。

メルトダウンそのものが問題ではなかったようです。メルトダウンによって圧力容器外に放出された放射性物質が、原発建物の爆発によって大気中に放出されてしまったことが問題のようです。
よって、チェルノブイリ事故が大爆発による放射性物質の「大飛散」であるとすれば、福島事故は小爆発による放射性物質の「小飛散」であって、規模の違いこそあれ「最悪の事態」は既に発生しています。
 
では、放射性物質が大気中に排出されるとどのような問題が起こるのでしょうか。

【point 2】
大気中のセシウムなどの放射性物質が発する放射線により外部被ばくを受ける
また呼吸などによりセシウムを体内に取り込むことで内部被ばくを受ける
風で運ばれ降雨で土壌に沈着したセシウムにより、地域土壌・作物表面が汚染される
さらにその土壌で育成された農作物は土中から吸い上げたセシウムを濃縮蓄積する可能性がある(これを食することで内部被ばくが発生する)
 
さらに大事なポイント。

【point 3】
被ばくして累積放射線量が100mSV(ミリシーベルト)を超えると、身体になんらかの症状が見られる可能性が高い
外部被ばくだけで100mSvを超えるということは、原発中心近くなど相当に大気中の放射線量が高いエリアにいない限りは短時間で発生する事象ではなさそう
内部被ばくは、いずれは体外に放射性物質が排出されるものの、体内にあり続ける間は、体内において放射性物質が放射線を出し続けるのでリスクは外部被ばくの比ではない

さて、論点をまとめる前に、
被ばく放射線量は少なければ少ないほど良い、という大原則を見失わないようにしようと思います。

累積値が100mSvを超えなければ事実上のリスクはない、という見解が一つあります。これは検証的にその通りでしょうが、統計から得た数字に過ぎず、決定的な論拠はありません。300年経って見て振り返れば、「50mSvを境に発がん性がアップしてる」という検証結果が出るかもしれません。
現時点では、100mSvがひとつの境界線になっている、という話に過ぎないようです。

当たり前ですが、個人差によって100mSvで即座に症状が出る人もいれば、500mSv蓄積してもへっちゃら、という人もありえます。また、大人と子供、女性と男性の体格差でも差がでるのも当然と考えるべきでしょう。

また、体内に取り込まれた放射線は生涯低減しない、という話はウソのようです。

新陳代謝や排泄によって放射線から受けたダメージは回復しうるみたいです。
今回の問題は、回復量<新たに受けるダメージ、であることが問題です。当然に受けるダメージのほうが大きければ、蓄積量がアップしていくことになります。

外部被ばくは、大気中のセシウム等の放射線物質が発する放射線にさらされることで被ばくする現象です。屋外よりも屋内にいれば被ばく量は低減され、全裸よりも着衣によってある程度低減します。セシウムそのものが皮膚に付着しても洗い流すことはできるようです。
一方、内部被ばくは、大気中のセシウム等を呼吸により取り込む、セシウムが入り込んだ農作物や魚を食べる、ことで放射性物質そのものが体内に入り、体内に入った放射性物質が体の内側から放射線を出し続けることになります。

いずれ、排泄などによって放射性物質そのものが体外に排出されますが、すべてが綺麗に排出されるわけでなければ、残るものもあります。また、逆に言えば排出されるまでは被ばくし続けることになります。これは排出まで100〜200日程度、という説がありました。

また、体内に残る放射性物質も、一定期間を経過するとパワーがダウンします。これを「半減期」というそうで、ヨウ素131は8日間、キセノン133とクリプトン88は5日、ただしセシウムは30年、という話です。

なお、Bq(ベクレル)という単位を耳にします。これは、放射性物質が放射線を発する「強さ」です。
焚き火そのものの熱量がベクレル、焚き火の周りにいる私たちが受ける熱量がシーベルト、ということになるのでしょうか。着衣や屋内に入ることで受ける熱量は減らせますし、体内に取り込まれた火(ありえませんが、)が熱量を発し続ければ、私たちは体内から熱量を受け続けることになります。

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福島事故で放出された放射性物質の大半はヨウ素とのことです。
だから初期のニュースではヨウ素がよく話題になりました。半減期が8日とはいえ、その間はパワーがあるわけで、濃度の高い中で外部被ばくすれば危険です。まとまった量を体内に取り込めば、さらに危険です。

そして現在のニュースでは、福島から遠く離れた地域のセシウムが話題になります。土壌が汚染されれば30年は放射線を放出し続けるわけで、居住や農作物に多大な影響があるわけです。

このへんまで学習して、やっとニュースとつながりました。
当時はわかったようなわからないような感じでニュースを見ていましたが、不勉強を恥じるところです。

よって、中間結論としては、

【point 4】
外部被ばくに対しては、なるべく大気中放射線量の少ない地域で過ごす、屋内で過ごす。
内部被ばくに対しては、大気中放射線量の多い地域ではマスクにより呼吸での放射性物質取り込みに気をつける。葉モノ野菜などは良く洗って食べる、根菜・魚など内部に放射性物質が蓄積する可能性のあるものは産地に気をつける。

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1つ気になったのは、たぶん、世間の多くの人も同じだと思いますが、
4月に原子力安全委員会が発表した、「被ばく放射線量の最大基準値を、これまでの年間1mSvから20mSvに引き上げる」としたことです。

福島事故以前、「国の基準」とされていた1mSv/年は、100年かかって100mSvの放射線が蓄積される(途中、蓄積放射線が低減しない仮定で)、という計算になります。かなり安全寄りな基準値であることはわかります。

では、政府が発表した20mSv/年ですが、5年で100mSvに到達することになります。誰だってわかる話です。

国際放射線防護委員会(ICRP)によれば、

1mSv/年以下の被ばく環境: 人体影響なし、社会的に有用な利用ができる
1〜20mSv/年: 職業的被ばくなど個人が利益を受ける状況に適用
20〜100mSv/年: 緊急事態における被ばく低減などのための特殊作業
100mSv/年: 確定的に人体に影響がある

という段階区分があるようです。
 
以前の国の基準のままでいると、「総員、福島第一より退避!」となってしまい、住民は財産を投げ捨てて即座に退避となり、作業者は全員逃げ出し、福島第一は無人となり放射性物質を大気中へ垂れ流し続け、地球規模で迷惑がかかる。

よって、福島第一原発の作業のために、あるいは近隣住民の混乱をさけて秩序良く退避するために、基準値を「一時的に」引き上げます、ということ自体は間違ってないと思います。

チェルノブイリでも、1週間〜1ヶ月の期間において、20mSvの基準を適用したようです。

さて、今回の福島ですが、3/11から4週間経過した4/5になって、20mSv/年の検討をする、と発表がありました。
この4週間の間、すでに福島第一周辺の人たちは、本来の国の基準値を大幅に超える放射線を被ばくしている可能性が高く、さらにこの先も本来の国の基準値(1mSv)を超える値(20mSv)を受けてもオッケーになりました、なんてそんな話がまかり通るものでしょうか。
 
逆算的だと思います。

年間1mSvということは、被ばく量は時間あたり0.19μSv(マイクロシーベルト)が上限値になります。(1000μSv=1mSv)
年間20mSvということは、時間あたり3.8μSvまで許される、という計算になります。

事故直後、福島第一周囲ではとてもじゃないけど、0.19を下回るような数字は見られなかった。1mSv/年の基準を遵守すると、避難勧告を発令しなければならなかったのにできていなかったという事実があり、生じた損害は国の賠償責任が出る。よって、ICRPの「緊急時には20mSvでも仕方ないよね」という通告を根拠にして、「いまは20mSvでも良いんです」という基準を後出しで発表した、と私には受け取れます。

20mSv/年を超えなければ避難勧告を発令しなくてよくなった、だけの話であって、
20mSv/年が決して安全ではない数字であることは、今となってはよくわかります。

私は、1mSv/年 = 0.19μSv/時間 を遵守することを個人的な基準として考えたいと思います。

【point 5】
3.8μSv/時にせよ、0.19μSv/時にせよ、「人体への影響」を考えれば、外部被ばく+内部被ばくの放射線量の上限値と考えるべき。ICRPのいう臨時の際の20mSv/年も、外部+内部被ばく量の総量で議論されている。
しかし、この基準値を「イコール大気中の放射線量の上限値」として政府は理論をすりかえている。
そしてそれを国民に十分な説明をしていない。

本日の読売新聞に記載された文部科学省発表のデータによると、
 いわき市 0.17μSv
 郡山市 0.87μSv
 福島市 0.96μSv
 会津若松市 0.13μSv
とのことです。本来の基準から言えば、郡山市、福島市は避難勧告対象、いわき市も自主避難開始しておかしくないレベルでしょう。

いわき市の方々は、0.19μSvを下回っているわけですが、基準値まで残り0.02μSvしか余裕がなく、内部被ばく量を0.02μSv以下に抑える必要があります。相当に「呼吸と食事に気をつけないとならない」状況と言えます。ただし、0.17μSv下の外気中に24時間全裸で突っ立っているわけではないので、そこは考慮に入れないとならないわけですが。

ちなみに、私が住む滋賀県の9/30計測結果では、彦根市で0.026μSv、測定地点で一番値の高い長浜市西浅井で0.070μSvでした。

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10/6に発表された首都圏のセシウム134と137の合計蓄積量のマップは以下の通りです。
23区内では葛飾区柴又、東金町、水元公園や江戸川区北小岩の一部で3〜6万ベクレルと周囲より高く、奥多摩町の多摩地区では10〜30万ベクレルを計測しました。



セシウム134の半減期が2年、137が30年です。
チェルノブイリ事故では、セシウム137について3.7万ベクレルを「汚染地域」としていますので、それを上回っている可能性が高いといえます。しかし、現時点の日本における強制避難の基準となる55万ベクトルは大幅に下回っています。
東京都の保険局は、「健康面において直ちに影響を与えるようなレベルではない」と発表しました。

もちろん、この調査は大気中のものであって、10万ベクレルも外部被ばくに関連する話です。
しかし、汚染した土壌と農作物の関係は?水源は?

原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値において、飲料水における放射性セシウム137の基準値は1kgあたり200Bq(ベクレル)です。

この200Bqの飲料水を1kg飲んだ場合、2.6μSvの被ばくとなります。
この水を365日、1kg(1リットル)摂取し続けた場合、2.6×365=949μSv=0.949mSv/年の被ばくとなります。
ほぼ、本来基準値の年間1mSvに近い数字です。外部被ばく、および飲料水以外からの内部被ばくがあれば、たちまち1mSv/年を超えることでしょう。

大気中に10万ベクレルものセシウム137があることと、
200ベクレルのセシウム137を体内に取り込むことと、どの程度の関連性があるかわかりません。

繰り返しますが、
被ばく量は少なければ少ないほど良い、のです。また、大人と子供とを一緒に考えることもできません。

報道が少なくなっただけで、福島第一の状況は良化しているわけではありません。
奥多摩の一部ではチェルノブイリ事故において汚染区域とされる基準値を超えています。南相馬市など、10/6測定で0.48μSv/時の放射線量が検出されています。

それでもなお、政府は9/30に南相馬市、田村市、広野町、楢葉町、川内村の5つの市町村の緊急時避難準備区域を解除しました。

なにも良化していないのに、「安全だから帰ってもいい」と言っているように聞こえます。

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最後に。

すべては、リスクとリターンを天秤にかけて決める必要があります。

私は脱原発派ではありません。
原発のリスクと、原発の恩恵というリターンは、釣り合う以上のリターンがあると考えています。
一方、被ばくのリスクと、原発の恩恵は、まったく釣り合いません。
そして、「今の電力各社と日本政府の管理における原発」のリスクと、原発の恩恵は釣り合わないと思っています。したがって、現状においては、原発はハイリスクローリターンであると考えます。

しかし、未来永劫、原発とはハイリスクローリターンではなく、技術進歩によってローリスクハイリターンになりうると考えています。

原発という科学技術について、足を止めてはならないと思います。
しかし、慎重に足を進める必要があります。

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