職場の話はしませんよ。
自習の時間: 小沢一郎と陸山会事件
強制起訴による公判が始まった小沢一郎氏と陸山会の事件について、自分なりに復習してまとめてみます。

例によって、私自身がニュースや解説などを参考に理解してまとめたものですので、大筋で間違いはないと思いますが、誤りもあるかと思いますので鵜呑みにせずにお願いします。

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まず、記載を始める前に、私個人は政治家・小沢一郎はあまり好きではないし支持してはないことを明言します。

それでも、今回の一連の事件、特に元秘書らへの一審有罪判決、および小沢氏の検察審議会による強制起訴には疑問があるので、下記に詳述します。


JUGEMテーマ:政治家

さて、まずは本件「陸山会事件」の現状です。

【point 1】
1. 9/27に小沢氏の元秘書ら3名に対して有罪判決(禁錮刑、執行猶予あり)。当然に被告は高裁へ控訴。
2. 検察審議会による強制起訴により10/6に小沢氏本人の初公判。小沢氏は全面無罪を主張&痛烈な検察批判

自分自身の考えをまとめていく上で、ぶれないように判断の原点をまとめます。

【point 2】
1. 黙秘は被告の権利。疑わしきは罰せずの原則
2. 元秘書らの起訴内容は土地購入にからむ4億円の記載不明など「政治資金規正法違反」(虚偽記載および共謀)
3. 小沢氏の起訴内容も「政治資金規正法違反」(共謀)

【point 3】
4. 小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」の管理のもと、小沢一郎名義にて総額10億円近い不動産を保有。陸山会事件の争点でもある世田谷の土地約3億5000万円相当も含む。
5. でも、(当時の法律では、)政治資金管理団体が不動産を保有することは違法ではない
6. もちろん、正統な収入により小沢氏が個人的に不動産を保有することは違法ではない
7. 今回の起訴事実の一連は、政治資金規正法で規定される、「お金の出し入れがあったら正しく記載すること」というルールに反する「虚偽記載容疑」であって、収賄罪ではない

9/27に下された元秘書ら3名への有罪判決にて中間結論が出た感があったので、これまでの流れを確認してみましたが、感じられたのは以下の流れです。

(マスコミ)小沢さん、政治資金管理団体がなんで土地持ってるの?どこからそんなお金出てくるの?
  ↓
(マスコミ・野党)ちゃんと言えないってことは悪いお金なんじゃないの?
  ↓
(判決)君たち秘書が別件で1億円の賄賂をゼネコンからもらったのは事実だと"思う"んだよね。だからきっとその1億円をごまかすために4億円についてもアレコレ虚偽記載したと"思う"んだよね。だから有罪。
  ↓
(今後の小沢氏本人への公判での検察側主張)元秘書が小沢さんの指示なしに独断で動くなんてありえないと"思う"んだよね。小沢さんが指示した(=共謀した)んだよね?


ライブドア事件での国民感情を思い出す部分があります。
政治不信に基づく、政治家は何かしら悪いことをしているに違いない、だからやっつけて構わない、という少々ヒステリックな感情と、マナー違反であっても法律違反ではない行為への反感ですね。
 

争点となる4億円と世田谷の土地問題ですが、小沢陣営の説明(主軸)は以下です。

【元秘書陣営の主張】
(1)2004年、秘書らの寮として適切な土地があったが、陸山会の手持ち資金が足らないため小沢氏個人から4億円を借りた
(2)陸山会はその4億円を定期預金に入れ、それを担保として4億円を銀行から借り、世田谷の土地を購入した
(3)2007年、陸山会は4億円を小沢氏に返却した
 
【検察側の主張】
(1)2004年の借入、2007年の返済、いずれも4億円について政治資金収支報告書への記載がない
(2)不動産の購入について、2004年に購入したのに、2005年に報告書に記載されている
(3)その間にも架空寄付や、ゴースト団体を経由した闇献金があると思われる

【元秘書陣営の再主張】
(1)陸山会代表である小沢氏からの貸し借りなので記載不要と勘違いした(単なるミスを主張)
(2)2004年の帳簿には「小沢一朗4億円」と記載があり、不記載ではない
(3)不動産購入は2004年だが、登記が2005年だったので2005年に記載した
(4)闇献金については一切知らない


元秘書陣営の最主張は、かなり苦しい言い訳です。
また、4億円の借りについても、石川被告「借入金欄に小沢一朗4億円と記載しており不記載ではない」、池田被告「一時的な預り金であり記入する必要がないと思った」と、足並みが揃いません。
金銭の出入りを報告する収支報告書ですから、登記時ではなく不動産購入時に記載すべきも当然です。

(1)についても、個人小沢一郎氏と、陸山会代表としての小沢一郎氏とは別であるのに、「財布は一緒だと思った」(石川被告)という認識は、たとえホンネであるにしても問題です。財務についてこんな基礎も知らない人間が衆議院議員やってるのかと思うと残念です。
 
以上の通り、元秘書陣営の反論は、「作為的な不記載・虚偽記載などはなく、すべては『うっかりミス』だ」「ヤミ献金は一切知らない」ということに終始しています。
 
【マスコミの騒ぎ方】
(1)そもそも小沢氏はなんで4億円ももってるの?どうせ闇献金でしょ?
(2)複雑にお金を動かしたのは、闇献金をうやむやにするロンダリング的なものでしょ?
(3)小沢氏が一切知らず、秘書たちがやったことなんて嘘でしょ?小沢さんの指示でしょ?

これらのマスコミの騒ぎ方に対して、小沢氏は十分な説明が出来ず、また、説明が前回と今回とでズレたりするので、余計に胡散臭さが広がります。

【元秘書らへの一審判決】
(1)供述調書は採用できない。取り調べはすでに逮捕されている前田恒彦 元大阪地検特捜検事により、威圧的・誘導的な取り調べであった可能性がたかい
(2)一方で、水谷建設からのワイロを受け取り、収支報告書に記載してないと推認される。これは支払った側の水谷建設が「要求されて払った」と自白している
(3)別の政治団体を経由したものの、実質的に西松建設が払った闇献金も、ヤミ献金とわかっていたはずであり、この金をごまかすためにアレコレ虚偽記載があったと推認される

この一審判決が、まさに私が興味をもったところなのですが、
自白による供述調書は、「威迫と利益誘導があった」として証拠採用を却下しています。そのうえで、今度は被告が否認しつづけた闇献金について、石川議員と大久保元秘書が意志を通じていたことが「強く推認される」、虚偽記載を隠蔽する認識を共有していたとみるのが「自然かつ合理的」と認定しました。直接証拠はなく、周辺証拠・証言からの「推認」です。強い推認だろうが、弱い推認だろうが、推認は推認です。
 
河上和雄氏 元地検特捜部長・弁護士は、今回の「推認有罪」にやや否定的で、「黙秘すれば良かった」ともコメントしています。不自然で矛盾のおおい供述を繰り返したせいで、「石川被告はなんらかの嘘をついている」と思われ、上記の判決に至りました。

私の個人的な考えとして、
1.小沢氏ならびに元秘書陣営になんらかの犯罪行為があった可能性は極めて高いと思います。
2.被疑者には黙秘権があります。黙秘すれば良かったところを、小沢氏も石川被告もヘタな説明を繰り返したのは「政治家」であるがためであって、可能な範囲で「政治家としての説明責任を果たそう」としたけど、可能な範囲が極めて狭い範囲だったために十分な説明ができていなかった
3.小沢氏の3度の起訴猶予は、政治的圧力ではなく、地検特捜が小沢氏の預金通帳まで全部見ても、有罪まで持ち込めるだけの物的証拠を集められなかったのではないかと思います。この状況の落ち目の小沢氏が、検察を黙らせるだけの政治的圧力はかけられないと思います。
4.にもかかわらず、検察審議会は強制起訴しました。こういっては何ですが、優秀な検事が集まる地検特捜が有罪の材料を集められなかったのに、検察審議会が小沢氏を有罪まで持ち込めるでしょうか?虚偽記載も不記載も闇献金も、小沢氏は「知らない」を繰り返すと思います。政治資金収支報告書に直接記載した石川被告や池田被告や、それを管理した大久保被告よりも、小沢氏は「報告書そのもの」から遠い位置にあります。それでもなお、小沢氏が関与していた可能性が高い、として共謀の罪で推認有罪とするのでしょうか
5.元秘書らの訴訟は、「政治資金規正法違反容疑」であるにもかかわらず、建設会社からの闇献金を裁判官は認定しました。検察はいまから贈賄などで立件すれば、有罪判決まちがいなしなのでしょうか?
 
 
「被告」(被疑者)には黙秘権があります。被告に説明責任はありません。そして、疑わしきは罰せず、の原則は刑事訴訟法で規定されています。
確かに、この手の事件は密室なので、当時者の自白のウエイトが大きいですが、それが無理なら物的証拠で有罪を固めるしかありません。それができないのは、検察の力不足です。そんな事言ったって、密室で徹底的に証拠を隠されたら立件なんて無理!といえばその通りですが、陪審員制度を取らない今の日本では、黙秘で逃げ切ることが可能な場合もある、ということが現実なのです。

悪いことしてないなら、キチンと説明しろよ!というのは「立証義務を被告側に負わせる」ことであって、日本法からはハズレます。悪法であっても法は法、ルールはルールとして運用されなければ、法治国家とは言えないのではないでしょうか。
 
一方で、公職としての政治家には、説明責任があります。黙秘を続ければ、いずれは「選挙での落選」という罰が下ります。
 
よって、政治責任を果たさないからといって、刑事罰で対応するというのは司法権の乱用であり、この点は小沢氏の主張のほうが妥当性を感じます。
 
さらに、政治家としての説明責任と、被告としての黙秘権をごちゃまぜにして小沢陣営叩きをしているマスコミには真実を伝える姿勢が欠如しているとしか思えません。いまの民放には自称報道番組である「ニュース風味のバラエティ」しか存在していませんが、世間知らずの司会者と、自称識者・自称文化人が「小沢さん怪しいよね」と個人的な意見を公共電波で流しているだけです。そんなものはblogかtwitterでつぶやいておけ、公共電波使うな、と感じます。
 
そしてなお、この状況であっても小沢氏が次回選挙で再選する可能性があります。
46都道府県で嫌われても、1都道府県において地元選挙区だけを確保すれば政治家として生き残れる「小選挙区制」と、仮に小選挙区で落選しても比例名簿上位にあれば復活当選できる「小選挙区比例代表併用制」の問題です。
  
政治家としての責務を果たさない政治家を、選挙できっちりと落選させる。そのことこそ、有権者の「責務」だとは思います。
 
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本件のような「推認有罪」が認められるのなら、被告が無罪になった事件に関連する、どれほど多くの犯罪被害者の方々が自分たちの事件で推認有罪を適用しなかったのか、と歯噛みするのではないでしょうか。
 
私自身には、北海道男児行方不明事件(通称:城丸事件)が強く思い出されます。


■参考サイト
http://www.sbi-com.jp/kitao_diary/archives/201110053309.html
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51618710.html 

(城丸事件)  http://yabusaka.moo.jp/siromaru.htm

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